看護師

【新人看護師】看護師1年目で人生初の挫折を味わった話【2】

【1】の続きです。ぜひ初めから読んでいただけると嬉しいです。

できない自分が情けない。自分を嫌いになった

これまでの自分は何だったのか。自分が、ここまで「できない」人間だとは思わなかった。やってもやっても、新しいこと・できないことがどんどん出てくる。

同じようなことを言われているのに、変えたいと思っているのに、全然成長しない。

先輩にも本当に申し訳ないし、社会人として、報連相すらまともにできない自分が嫌いになった。自己肯定感はどこかへ家出したようだ。

注意された時はへこむけれど、仕事中は忙しいし、色々考える余裕もなく、とにかく仕事を終わらせ、その日を乗り切ることに必死。

家に帰った瞬間、今日指摘されたこと、怒られたこと、これまでのこと。色んなことを思い出して涙が出てくる。お風呂に入りながら、今日の復習をしながら泣く。

泣くと少しすっきりする。ストレス発散の1つになっているのかもしれない。

そしてベッドに入っても、「明日は何を言われるのだろうか」「明日も無事に乗り越えられるだろうか」と考えているとなかなか眠れない。眠っても、一瞬で朝が来る。眠った気がしない。

そんな日々が続き、2ヶ月ほど前から、体調やメンタルに変化が出始めた。

慢性的な体調不良

まず、少しずつ体調に変化が出てきた。

熱があるとか、喉が痛いということはない。ただ、「頭痛」「吐き気」「寝た気がしない」「だるい」。

朝起きた瞬間から、頭痛と吐き気がある。朝食は食べる派だったが、とても喉を通らなくなった。何か食べたら吐きそう。でも、胃が空の状態で仕事に行くのも良くないし、脱水になるのも・・・と思い、お茶を1杯だけ飲んで出勤するようになった。弁当は、2~3日に1回しか作れなくなった。本当は昼になってもそんなにお腹がすかないので、食べなくても良い。でも、食べないことによってさらに体調が悪くなって仕事に支障が出たり、先輩に迷惑をかけるのはだめだと思い、コンビニで何かしら買っている。

夕食も適当に済ませるようになった。以前は、「忙しくて朝・昼が適当になっても、夕食だけはバランスの取れた食事を摂ろう」と思って、自炊していた。しかし今、そんな余裕は無い。さすがに少しお腹は空くので、インスタントのスープや冷凍食品の麺類をパッと用意して食べるようになった。

出勤途中も頭痛と吐き気は続く。正直、通勤だけでも疲れる。職場に着いても吐き気を感じながら情報収集をし、諸々の準備をし・・・。できるだけ周りには気づかれないように、しっかり挨拶をして、いつも通り振る舞っている。

休みの日は、とにかく死んだように眠って、だらだらと過ごしている。でも、仕事のことが頭から離れない。買い物をしていても、友達と会っていても、連休中でも。仕事の夢を見ることもあり、常に仕事をしているような感覚になる。先輩からLINEが来るのではないかとスマホを気にする。通知が来たら、指摘のLINEではないかと、ビクッとする。

こんな、なんだか気が休まらない日が続いている。

メンタルの不調

そして、自分でも分かるくらい、メンタルが落ち始めた。

夜、寝ようとしてベッドに入ると、「明日が来なければいいのに」「シフトを見間違えていて、実は明日は休みだったりしないかな」「明日、熱が出れば休めるのに」などと考えるようになった。そんなことを考えているからますます眠れない。寝ても寝た気はしない。

「なんか、自分って何もできないな」「成長しないな」「何やってるんだろう」「先輩にこんなに指導してもらっているのに、全然応えることができない」

こんなことを考える日が増えた。そのうち、「楽になりたい」「生きるのがしんどい」と思い始めた。

そして、決定的なことが起きる。

消えたいと思った

ある日の就寝前、空になって乾かしていた牛乳パックを切り開こうと、カッターを手に取った。いつも通り牛乳パックに切り込みを入れ、平らに開いた。そして、カッターを眺めて、

「このカッターで手首の血管を切れば・・・」と思った。

その瞬間、自分が怖くなった。こんなことを思ったのは初めてだった。急いでカッターを視界に入らない場所に片付けた。心臓がバクバクしていた。

「このまま1人でいたらだめだ。」

ようやく気づき、まずは実家に帰ろうと、リュックに最低限の荷物を詰めた。準備をしているうちに、少しだけ気持ちが落ち着いてきた。幸いなことに、実家はそう遠くない場所にある。しかし公共交通機関の都合で、その日は帰れなかった。「明日、仕事が終わって、まだメンタルが回復していなかったら、帰ろう。」そう思って、玄関にリュックを準備し、ベッドに入った。

次の日、相変わらず体調は良くないが仕事へ行き、なんとか仕事を終えて自宅に戻った。この日も安定の残業。家に着いたのは21時過ぎだった。玄関のドアを閉めると、前日に準備したリュックが目に入った。「こんな状態で、1人でいたくない」という気持ちと、「夜遅いし、親に迷惑かけたくない」という気持ちが湧いてきた。部屋の電気を付ける元気もなく、暗い玄関で座って少しだけ悩んだ。

でももう限界だった。

深呼吸して、母に電話をかけた。普段なら、こんな時間に電話することは無い。向こうもびっくりするだろうと思った。でも耐えきれずに電話をかけていた。

「もしもし」

母の声が聞こえた瞬間、泣き出しそうだった。でもここで泣いたら、何も話せなくなってしまう。伝えたいことも伝えられない。そう思って、何回か深呼吸してから口を開いた。

「あのね、ちょっと疲れたから、帰ろうと思う。○時くらいに着くやつで帰るから」

平静を装って、いつも通りに話すように心がけた。

「今から?暗いでしょ、大丈夫?駅まで迎えに行こうか?」

母はそう言ってくれたが、実家まで1人で歩いて、考えを少し整理したかった。実家に着くまでに気持ちを落ち着けたかった。

「大丈夫、適当に帰るから。もし、着いてからやっぱり歩きたくないって思ったらタクシー呼ぶから。」

そう答えて、電話を切った。切った瞬間、涙があふれてきたが、すぐにリュックを背負い、駅に向かった。

朝が来なければいいのに

駅に向かう途中、コンビニに寄った。好きなカフェラテを買い、飲みながら歩いた。

駅のホームでは、仕事帰りと思われる人が何人か待っていた。自分だけじゃなくて、少しほっとした。

実家の最寄り駅に着き、駅を出ると、町は閑散としていた。もうすぐ日付が変わろうかという時間だったので当然である。歩いている人は勿論いないし、車さえ通っていなかった。

静かな通りを、ゆっくりと歩いて帰った。

夜の空気は澄んでいて、深呼吸すると気持ちよかった。歩きながら、「このままどこか遠くへ行ってしまいたい」「このまま朝が来なければいいのに」と思った。でも、母に帰ると言ってしまったから、と自分に言い聞かせて実家へ向かった。

実家に帰る途中で、またコンビニに寄った。自分と両親の分のスイーツを買い、のんびりと歩いた。

日付が変わる頃、実家に着いた。

「おかえり、お疲れ様」と言われた。「ただいま」と言い、「後で食べよう」とスイーツを渡した。すぐに帰ってこれる実家があって本当に良かったと思い、ほっとした。

軽いご飯が用意されていた。ご飯を食べながら、今日の仕事について話した。疲れすぎてあまり言葉が出てこなかったが、母は何も言わず、いつも通りに話を聞いてくれた。不思議と涙は出てこなかった。

疲れていたのと、翌日仕事だったので、早く寝なければいけなかった。「死にたい」と思っていること、仕事がつらいこと、体調不良が続いていること、限界が来て今日帰ってきたことは言い出せなかった。ささっとスイーツを食べ、お風呂に入った。お風呂に入っている間に、布団が用意されていた。

「明日は弁当いる?」と聞かれた。「できれば作って欲しい」と言い、すぐに布団に入った。この日は比較的、すぐに眠ることができた。でもやはり、翌日の仕事のことを考えると憂鬱だった。

【3】へ続きます。